シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
明人は真顔で利香を見据える。
利香は複雑な表情で明人から目をそらす。
ふたりはちょうど、ホテル街のそばにいた。
酔った男女がふたりの横を通り過ぎて建物の中へと消えていく。
「うっ……」
利香は口に手を当てていきなり座り込んだ。
明人はそれを見下ろしながら深いため息をつく。
「飲みすぎだよ」
「うるさいわね。そう思うなら介抱くらいしたら?」
「自業自得」
「なっ……! あなたが深夜に酔って道ばたに倒れたときに助けてあげたのは誰よ? まさか覚えてないの?」
明人は視線を宙に向けてため息まじりにぼそりと答える。
「君だよ」
利香は顔を上げて笑う。
「そうでしょ! 私よ。あなたが仕事でうまくいっていなかったときにそばにいたのは私よ!」
利香は立ち上がりながら明人に詰め寄る。
「あなたが辛いときにそばにいたのは誰? 私なのよ!」
明人は黙って利香を見やる。
すると利香はさらに声を荒らげる。
「あなたのいいところも悪いところもよく知っているのは私なのにどうしてあの子が……!」
利香は息を切らせながら言い放つと、明人をじっと見つめた。
人のいなくなった通りがしんと静まる。
明人は表情を変えることなく訊ねる。
「言いたいことはそれだけ?」
淡々と、冷たい口調だった。
利香は複雑な表情で明人から目をそらす。
ふたりはちょうど、ホテル街のそばにいた。
酔った男女がふたりの横を通り過ぎて建物の中へと消えていく。
「うっ……」
利香は口に手を当てていきなり座り込んだ。
明人はそれを見下ろしながら深いため息をつく。
「飲みすぎだよ」
「うるさいわね。そう思うなら介抱くらいしたら?」
「自業自得」
「なっ……! あなたが深夜に酔って道ばたに倒れたときに助けてあげたのは誰よ? まさか覚えてないの?」
明人は視線を宙に向けてため息まじりにぼそりと答える。
「君だよ」
利香は顔を上げて笑う。
「そうでしょ! 私よ。あなたが仕事でうまくいっていなかったときにそばにいたのは私よ!」
利香は立ち上がりながら明人に詰め寄る。
「あなたが辛いときにそばにいたのは誰? 私なのよ!」
明人は黙って利香を見やる。
すると利香はさらに声を荒らげる。
「あなたのいいところも悪いところもよく知っているのは私なのにどうしてあの子が……!」
利香は息を切らせながら言い放つと、明人をじっと見つめた。
人のいなくなった通りがしんと静まる。
明人は表情を変えることなく訊ねる。
「言いたいことはそれだけ?」
淡々と、冷たい口調だった。