シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「本当にごめんね。彼女が君に接触していたことは知っていたから二度と近づくなと釘を刺したのに、嫌がらせを受けていたとは知らず、申し訳ないことをした」

 明人さんが真剣に謝ってくれるので、なんだか私が申し訳ない気持ちになってきた。

「明人さんのせいじゃないです。芦田さんが勝手に近づいてきたんです。彼女はきっとすっごく明人さんのことが好きだったんですね。だから結婚相手の私が気に入らなかったんだなって」
「君にそんな嫌な思いをさせるとは、本当にごめん」

 明人さんは困惑の表情でふたたび謝罪した。

「芦田さんのことはもういいんです。ただ、私が知りたいのは明人さんの気持ちだけ」
「え?」
「明人さんは芦田さんとはもう何でもないですよね?」
「当たり前だよ。情の欠片さえ残ってない。はっきり言って迷惑だから何度も関わるなと伝えている。次に何かしてきたら会社を巻き込んで潰してやるつもりだが」
「……明人さん。本当にやりそうで怖いです」
「本気だよ」

 その言葉が聞けただけで、少し安堵した。
 芦田さんがどう思っても、明人さんの心はここにあるんだなって。

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