シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「そんなに波留に心配かけることになるとは思わなかった。これは俺の落ち度だ。君に知られないように解決するつもりだったのに、逆に嫌な思いをさせたんだな」
「私も、芦田さんからいろいろ言われたときにちゃんと言えばよかったです。明人さんの取引先の人だから悪口を言っちゃいけないかなって遠慮してしまって」

 それで明人さんの仕事に支障が出ることになったらよくないし、自分が我慢していればいいと思っていた。
 だけど、ちゃんと話せてよかった。

「明人さんの口から真実が知れてよかったです。これで安心できます」
「もうないと思うけど、もしまた君に接触してきたらすぐに俺に言って。潰すから」
「もう、明人さんったら!」

 彼は冗談ではなく本当にやるだろう。だけど、彼の出世に関わることだから絶対にしてほしくない。
 だから、私が強くなるのが一番だ。

「私は明人さんの妻です。堂々と言ってやりますから」

 私が拳で自分の胸の叩いて宣言すると、彼はくすっと笑った。

「頼りになる奥さんだ」
「はい!」

 カツ丼は少し冷めてしまったけど、私はそれをぜんぶお腹に入れた。
 自分で言うのもなんだけど、とびきり美味しかった。

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