シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「ゆっくり見ていいよ。あたしは家にいるから、あとで鍵を返しに来てくれればいいから」
そう言って管理人のおばさんは帰っていった。
明人さんはキッチンのシンクの下から丁寧に収められた包丁を1本取り出してじっと見つめた。包丁は少し欠けて錆びついている。
それを彼は愛おしそうに見つめていて、なんだか無性に切なくなった。
「彼女は俺に包丁の使い方を教えてくれた人なんだよ」
「さっき、厳しい人だって言ってましたね。明人さんが料理上手なのはおばあちゃんの指導があったからなんですね」
「どうだろう。俺が勝手にそう思ってるだけで、向こうはそんな気はなかったのかもしれないけどね」
真顔でそんなふうに言い放つ明人さんに、少し違和感を抱いてしまった。
師匠だと言って慕っているようだったのに、彼女に対する話題が出たら急に冷めたような口調になる。
私が黙って見つめていたら、彼は苦笑しながら言い訳を口にした。
「他人だからね。どう接したらいいのか、お互いにわからなかった」
明人さんと私はキッチンを出ると縁側に座って庭を眺めた。随所に雑草が生えているけど、たまに手入れしているのか、伸び放題ではなかった。
「どんな人だったんですか? 師匠さん」
私が質問をすると、明人さんは少しの間のあと切り出した。
「そっけない人だったな」
そう言って管理人のおばさんは帰っていった。
明人さんはキッチンのシンクの下から丁寧に収められた包丁を1本取り出してじっと見つめた。包丁は少し欠けて錆びついている。
それを彼は愛おしそうに見つめていて、なんだか無性に切なくなった。
「彼女は俺に包丁の使い方を教えてくれた人なんだよ」
「さっき、厳しい人だって言ってましたね。明人さんが料理上手なのはおばあちゃんの指導があったからなんですね」
「どうだろう。俺が勝手にそう思ってるだけで、向こうはそんな気はなかったのかもしれないけどね」
真顔でそんなふうに言い放つ明人さんに、少し違和感を抱いてしまった。
師匠だと言って慕っているようだったのに、彼女に対する話題が出たら急に冷めたような口調になる。
私が黙って見つめていたら、彼は苦笑しながら言い訳を口にした。
「他人だからね。どう接したらいいのか、お互いにわからなかった」
明人さんと私はキッチンを出ると縁側に座って庭を眺めた。随所に雑草が生えているけど、たまに手入れしているのか、伸び放題ではなかった。
「どんな人だったんですか? 師匠さん」
私が質問をすると、明人さんは少しの間のあと切り出した。
「そっけない人だったな」