シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
~AKITO side ②~
明人はその夜、波留と寝る前の挨拶程度の電話をした。
本当はもっと話していたかったが、そこはぐっと堪えた。
最初からがっついては怖がらせてしまう。
波留は男に免疫がないので、少しずつ慣らしていかなければならない。
しかし、そんな面倒なことでさえ彼にとっては悦びだった。
明人はスマホに収めた写真を見て笑みを浮かべた。
カフェでコーヒーを飲む波留の手もとや、公園の花壇の前に立つ波留の姿。
散歩中に背後から隠し撮りした写真もある。
(あー可愛い。めちゃくちゃ可愛い。天使だな)
あの2次会に参加して本当によかったと思う。
まさか、これほど理想そのものの女性に出会えるとは。
毎回しつこく後輩に飲みに誘われても断っていたが、あの日ばかりはしつこい後輩に感謝せねばならない。
突然電話が鳴ってどきりとしたら【浅井】と表示されたので真顔でスルーした。
浅井とはしつこい後輩(男)のことだ。
(なんで天使の余韻に浸っているときにお前と話さなきゃならないんだよ。空気読めよ)
などと、めちゃくちゃなことを明人は胸中で呟いていた。
電話が切れて再び波留の余韻に浸るつもりだったが、今度はとんでもない人物から電話がかかってきた。