シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
 ダイニングテーブルに並ぶ朝食メニューは焼き鮭とたまご焼き、生ハムの乗ったサラダ、かぼちゃの煮物、雑穀米と玉ねぎの味噌汁だった。

「美味しい~。お味噌汁が体に沁みる」
「そう、よかった」
「明日は私が早起きして作ります」
「無理しなくていいよ」
「メニューはトーストとベーコンエッグになってしまうけど」
「なんでもいいよ。君が作るものならたとえ失敗作でも」
「ひ、ひどーい!」

 私は茶碗を持ったまま明人さんに抗議の目を向けた。だけど彼は笑顔で返す。

「本当だよ。作ってくれる人を偉そうに非難する気なんてないよ。俺は」

 そういえば、明人さんは私が失敗しても責めたりしないし、いつも優しく指導してくれる。当たり前のことなんだけど、それができない人って多いよね。

「私も明人さんが失敗しても気にしません」
「俺が何か失敗した?」
「昨日、洗濯機の中で靴下が裏返しになってたよ」
「ああ、ごめん。気づかなかった」

 目を丸くして本気で謝罪する明人さんがなんだか可愛く見えた。

「いいですよ。お互いの欠点を補いながら生活していくのが夫婦だもの」

 そう言うと、明人さんはふふっと笑った。

「お互いのいいところが影響し合うのも夫婦だよね」

 明人さんの返しがとてもしっくりきて、彼と結婚できた私は本当に幸せ者だなあって思った。

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