シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「あ、もうひとつ……」

 こんなこと訊いてもいいのかな……。
 だけど、今まで経験したことないし、うまくできなかったらどうしよう。

「何? なんでも言って」
「えっと、じゃあ……結婚式の誓いのキス、なんですけど」
「え? ああ、うん。どうしたの?」
「私、キスしたことないんです。だから、うまくできるかどうか……」

 真剣な気持ちで相談したつもりだ。
 明人さんは目を見開いて驚いた顔になった。

 し、しまった……やっぱりこんなこと、相談するんじゃなかった。
 猛烈に恥ずかしくなり、全身から汗が噴き出した。
 顔から火が出るほど熱い。

 すると明人さんはいきなり声を殺して笑い出した。
 呆然としていると、彼は複雑な表情で私を見て言った。

「そんな心配しなくていいよ。俺がうまくやるから」
「あ、そうですよね。すみません」
「まあ、でも、練習してもいいけどね」
「えっ……?」

 明人さんは私の髪を指先で梳くように撫でてから、私の頬に触れた。
 その指先の感触にどきりとして、思わず顔を背けた。

「練習、する?」

 明人さんがそう言って、私は体が燃え上がるほど熱くなった。
 恥ずかしさのあまりぎゅっとスカートの裾を握りしめる。

 心臓が壊れそう……!


※明人の心情(おいおい、可愛すぎかよ)
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