シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
 明人さんは私の髪を撫でながら顔を近づけてくる。
 あ、これはキスをするんだって思った。
 映画みたいな綺麗なキスを想像しながら私はそっと目を閉じた。

 唇に触れた瞬間、ふわっと幸せな気持ちがあふれてくる。
 ドキドキしながら私は彼の肩に手を添えた。

 綺麗なキス――。

「ん、んっ……!?」

 明人さんはキスをしたまま私の頭を掴んでソファに押しつけた。
 そして軽く触れるだけだったキスが急に変わった。

 え、何これ? ナニコレ? なにこれーっ!!!

「ううっ……」

 息が苦しくなって顔を背けようとしたら、彼にぐっと頭を掴まれてしまった。
 う、動けない……!

「あっ、あーっ……!」

 思いきり肩を押したら彼はようやく離れてくれた。
 でも、顔が間近にあって、またすぐにでもキスをしそうなくらい。

「あ、あの……今のは?」
「キスだよ」

 彼は真顔で淡々とそう言った。

 違う。こんなの私が想像したキスじゃない。
 さっきの映画とも、結婚式のときとも、初めてのときとも違う。
 なんて表現したらいいんだろう。
 まるで体中が舐められるみたいにぞくぞくして変な感じ。

 猛烈に恥ずかしい!!!


※明人の心情(まずい、やり過ぎた。ま、いいか)
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