シェフな夫のおうちごはん～最強スパダリ旦那さまに捕まりました～

　夜は明人さんと一緒に夕食を作った。
　私は包丁を握るのが苦手だから、食材は彼が用意した。
　鶏肉と玉ねぎとエリンギを細かく切って、フライパンでご飯と一緒に炒めるとチキンライスに。

　と思いきや、それだけじゃなかった。
　卵を割ってミルクとマヨネーズと砂糖と塩を入れたものをかき混ぜてフライパンでふわっと焼いたらチキンライスにすぐ乗せた。

「見てて」

　彼がチキンライスの上に乗せたふわふわ玉子にナイフを入れると、とろとろと玉子があふれ出した。

「うわあ、すごい！」

　ふわとろオムライスの完成だ。

「遅くなったから簡単なものでごめんね」
「簡単じゃないですよ。こんなのできないもん」

　明人さん、まるでレストランのシェフみたいだよ。

「いただきます」と言ってスプーンを手に持ち、ふわっとした玉子とライスを一緒に口へ運ぶ。
　口の中でとろけて幸せな気分になった。

「美味しい～！」
「よかった。君が喜んでくれると作り甲斐があるよ」
「明人さんはカフェが開店できるかも」
「君のためのカフェを一生続けていくつもりだよ」
「えっ……」

　私だけのカフェ。
　明人さんはなんでこんな、さらりと嬉しいことを言ってくれるんだろう。
　彼の心は優しさで出来ているんだ、きっと。


※明人の心情（これで今夜は少々荒々しくしても許されるよな？）