シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
 波留は小麦粉をふるいにかけながら、昨夜見た映画の話をした。

「推しの闇堕ちとか、つらすぎて、ベッドに入っても動悸がすごくて眠れませんでした」
「そうなんだ」

(でもそれ、エピソード4からだから闇堕ちは先に決定しているんだけどな)

 明人は卵の黄身と卵白を分けてボウルに割り入れる。

「もう、悲しすぎて、親子で敵同士だなんて!」
「……そうだね」

(次からシリーズものを見せるのはやめよう)

 明人は電動泡立てミキサーを取り出し、卵白を高速でかき混ぜる。
 それほど時間の経たないうちに、卵白は白くもっこりとして、メレンゲが完成した。

「わあっ、ふわふわですね」
「これくらいでいいか」

 明人はバターと砂糖と黄身を混ぜ合わせたボウルにメレンゲを投入し、波留がふるっておいた小麦粉を入れてさっくりと混ぜた。

「さあ、焼いていこう」

 フライパンに生地を流し、しばらくするとふわっと膨らんだ。

「すごい。おしゃれなカフェにあるパンケーキみたい」

 波留が大喜びなので、明人は満足げに笑った。

(今夜は大人向け♡の映画を見せよう)

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