シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「あ、あの……脱ぐので、ちょっと待ってもらえますか?」

 慌てて絞り出した知識をもとにそう言って服に手をかけたら彼に腕を掴まれて制止された。

「明人さん……?」
「……それは俺の特権」
「え?」
「楽しみを奪うのは許さない」
「た、楽しみ!?」

 明人さんの発言がだんだん大胆になってきた。

「そう。君は魚を捌いたことある? まず鱗を取るところからわくわくするんだよ。それからゆっくり丁寧に腹を切り裂いて、内臓を取り出して、身を開いて……」
「あ、明人さん! 例えがリアルすぎます!」
「ああ、ごめん。魚を捌くときの快感は味わったことがないと理解できないか」
「そ、そうですね」
「今度教えてあげるね」

 彼はそう言ってにっこり笑った。
 あれ、もしかして、明人さんはものすごーく変人だったりして?
 
『うーん、何かありそう』と言った優菜の言葉を思い出す。
 そういえば男の人って結婚前まですっごく優しいのに、結婚したとたん本性を現すって……。

「明人さん、もしかして変態ですか?」

 自分でもとんでもない質問をしたと思うけど、彼はそれをあっさり認めた。

「そうだよ。バレたならもういいよな」
「ええーっ!!!」

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