シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
 私たちの初夜は、成功したのだろうか?

 朝目が覚めたら、私はちゃんと服を着ていて、となりに明人さんはいなくて、しばらくぼんやりする頭を整理するために再び目を閉じた。
 完全に起きていたけれど、体が動かない。

 ゆっくりと昨夜の記憶を辿る。
 私は彼にたくさんキスをされたり触られたりして、恥ずかしくてたまらなかった。
 それから彼の裸を見てしまった。筋トレが趣味らしく、かなり鍛えられた肉体美に私はそっちに意識が向いた。

 だけどそんなのすぐに頭から抜けてしまうくらい触れ合う肌の心地よさに酔いしれた。
 夫婦生活ってすごい。
 こんなに気持ちよくて素敵なことなら毎晩抱き合ってもいいのにって思ったんだけど。

「ごめんね。まだちゃんとできていないんだ。次は最後までできるといいね」
「へっ……?」

 明人さんは心底残念そうな顔をしながら牛肉のステーキを焼いた皿を私の目の前に置いた。
 テーブルにはステーキと蒸し野菜、それにスープと白いご飯がある。

「え、えっと……朝からお肉ですか?」
「体力をつけて今夜こそ頑張ろうね」
「は、はい……」

 なんだ、夫婦生活はまだ先があるみたいだ。
 とりあえず朝から肉を食べさせられることになった。


※明人の心情(これから本番というときに寝やがって! 今日は昼寝をさせておこう)
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