シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~

5、うまくできない!

 休暇を終えて出勤したら部署のみんなが祝いの言葉を述べてくれた。
 名字が変わって穂高さんと呼ばれるようになったけど、最初は慣れなくて戸惑ってしまう。
 それ以外はいつも通り過ごした。
 
 ランチタイムは優菜とオフィスビルの敷地内にある公園のベンチに座って食べることにした。なぜなら私はお弁当を持っているからだ。
 だけど、私が作ったものじゃない。

 お弁当箱を開けると、優菜が「わあっ」と声を上げた。

 お弁当箱のひとつにはおかずがぎっしり。
 にんじんとアスパラガスとチーズを挟んだ肉巻き(照り焼き)と厚焼き玉子、かぼちゃの煮物、ほうれん草のごま和え、あとは隙間にミニトマトとブロッコリーが埋められていて色合いがきれい。
 よく見たらウインナーも入っている。

 そしてもうひとつは、ほぐした鮭と小さくカットして茹でたいんげんが白いご飯の上に散りばめられていて、まるで春色のように美しい。
 よく見たら白ごまも振りかけてある。

「すご……これがスパダリ弁当ってやつ?」

 優菜が目を丸くして言った。

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