シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
 すると続けてメッセージが届いた。

『もう作った?』

 急いで返信する。

『まだなので、大丈夫です』

 何が大丈夫なのだろう。でも、この醜態をさらすことがなくて、私は心底安堵している。
 結局この日は、ご飯を炊いて、黄味の崩れた目玉焼きとお漬物で自分の夕食を済ませた。
 味噌汁も作ってみたが、しょっぱくなったので飲む気になれず。
 残ったご飯でおにぎりを2個作り、小さなお皿に乗せてラップをかけた。

 シャワーを済ませてぼんやりとテレビを見ていたら、番組内のコーナーで『疲れて帰宅したら嫁がろくにごはんも作れずカップ麺生活』というゲストの男性の話が出てきて『これってリコンできますか?』と司会者に訊ねていた。

 なんということだろう。
 世間的には私は離婚されてしまうのだろうか。

 テレビ内では出演者からゲストにさまざまなバッシングが浴びせられていたが、その内容は私の頭には入ってこなかった。
 ただひたすら自分の不甲斐なさに落ち込んでいた。

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