シェフな夫のおうちごはん～最強スパダリ旦那さまに捕まりました～

　明人さんの帰りを待つあいだ、私はソファでうたた寝をしてしまった。
　そしてとんでもない夢を見てしまう。

　まず私はなぜかテレビの料理番組に出演していて、壮大に失敗してしまい他のゲストの人たちから大笑いされているところだ。
　そのとき明人さんが登場して完璧に料理を仕上げてくれた。
　ゲストのみんなは明人さんの料理を食べて褒めちぎった。
　私も嬉しくなった。けれど。

「君は本当に何もできないんだね」

　明人さんはにこやかにそう言って、私は笑顔が凍りついて固まった。

「まさか、ここまでとは思わなかったよ。もう、いいかな」
「えっ……何が、いいんですか？」
「君との結婚生活だよ。これ以上続けても俺にメリットひとつもないよね」
「そんなっ……私もっと頑張りますから、捨てないで！」
「もういいよ。さよなら」
「ええっ！？」

　明人さんはくるりと背中を向けて私から去っていってしまった。
　私は周囲の人たちの嘲笑を受けながら必死に彼に手を伸ばす。
　そして、彼の腕をぎゅっと掴んで叫んだ。

「明人さん！　行かないでえっ！！」