シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「そうだ。明日飲み会があるから食事はいらないよ」
「そうなんですね。わかりました」

 いつもなら気にしないんだけど、今日は気になってしまって、つい訊いた。

「誰と、ですか?」
「え? ああ、浅井と他数人かな。いつもは行かないけど、たまには参加したほうがいいかと思って」

 浅井さんの名前を聞いて、彼が言っていたことを思い出す。

『無口で不愛想な穂高さん』
『俺には冷たい人だから』
『腹黒いあの人の考えそうなことだ』

 同時に芦田さんの言葉も思い出した。

『穂高さんは甘いものが苦手だから』
『穂高さんの好みは秘書課の山野さん』
『奥さんがあなただってことも驚いたわ』

 私がぼんやりしていると、明人さんが声をかけてきた。

「どうかした? もしかして何か用事があった?」
「え? いいえ、何も。飲み会、行ってきてください。楽しみですね」

 慌てて笑顔で返答すると、明人さんは少し怪訝な表情をしたけど、それ以上突っ込まれなかった。

「もし君が行くなと言うなら行かないよ」
「もう、そんなこと言って!」

 明人さんは笑顔で軽くそう言った。
 彼ならきっと私が行くなと言えば本当に行かないだろう。
 けれど、それは明人さんの本心なのかな?

 目の前のあなたは本当のあなたなの――?

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