シェフな夫のおうちごはん～最強スパダリ旦那さまに捕まりました～

　翌日、私はお昼休憩にお弁当を食べながら昨夜あった出来事を優菜に話した。ずっと心の中がもやもやしていて、誰かに話さずにはいられなかったからだ。
　私の話を聞いた優菜は驚き、そして険しい顔で言った。

「何それ、すっごい失礼な人」
「そう思う？」
「だって、奥さんだと知っててわざわざ彼の好みを並べ立てるなんてマウント取りたいだけでしょ」
「そうなのかな？」
「その芦田って人が穂高さんのこと好きだったんじゃない？」

　私が薄々感じていたことを優菜がずばっと言って確信に変わった。
　芦田さんがもし明人さんのことを好きだったなら、あのセリフも納得がいく。

『あなたみたいな可愛らしい子が好みだったんだなって』

　それでも少し謎がある。だって彼女はあんなことも言っていた。

「芦田さんは明人さんが秘書課の山野さんのことを好きだったって言ってたんだけど……」
「それ、たぶん嘘よ。自分が好きだったなんて言えないから、代わりに他の人を使って牽制したのよ。まあ、確かに穂高さんは秘書課に人気だったけど」

　私は明人さんのことを何も知らない。
　だって少し前まで彼が同じ会社で、しかも優菜も知ってるくらい女子に人気だったことも知らなかったから。

　彼はどうして私を選んだの？