セブンティーンズ・アフタースクール

「今日のバンド練習、一貴と二人だけなんだ。今日、気持ちだけ伝えようと思う」


初夏の匂いのする涼やかな朝、教室で結は私に決心したように言った。

ギターの俊也は最近足を骨折していて、今日は病院に行き、ドラムの美紀はドラムスクールに行くのだという。


「結、頑張ってね。終わったら、ちゃんと連絡してね」
「うん」


その日、結は心なしか緊張して見えたけれど、なんだか風に吹かれたように爽やかだった。

笑っている結の髪の毛からは、ラズベリーの甘酸っぱい香りが漂っている。

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