《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 目に飛び込んできた光景に息を飲む。
 膨らんだ蕾が光をはらみながら開く瞬間を見たような気がした——。

 しなやかな身体の曲線を強調する意匠、灰紫色の髪は後頭部に緩やかに結えられ、白い首筋から繋がる豊かな胸の膨らみをあらわにしている。
 幼かった十歳の少女はもはや、アレクシスの見地を超えたところで色香を放つ大人の女性へと成長を遂げていた。

 目の前の愛おしいものに視線が張り付き、容易に引き剥がすことができない。かあっと熱くなった胸が鼓動を打ち鳴らし、全身の力が抜けてしまうような感覚にとらわれた。
 張り付いた熱い眼差しでエリアーナをただ見つめることしかできない。
 エリアーナの美しい立ち姿はまるで光を放っているかのようで、強調された胸元を気にして恥じらう様子がいじらしく、それは無自覚に男性の庇護欲を煽る天性のものだと言っても良かった。


 ——綺麗だと、言ってやりたい。褒めちぎるほどに褒めて、美しいのだと自覚させてやりたい。愛していると抱きしめて、恥じらう頬に溢れるほどのキスを落としたい。


 そんな衝動を胸の奥に押しやり、何度も深く呼吸をしてどうにか平静を取り戻す。これ以上見ていればほんとうに理性が効かなくなりそうだった。


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