《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 アネットとの《《顔合わせ》》を済ませたアンとともに、三人はレオンと別れて書庫室を出た。

 レオンは名残惜しそうにしていたが、何も知らないアンとアネットの前でレオンとの攻防戦を蒸し返すわけにもいかなかった。

 ようやく帰路に着こうという時、アネットが教場に忘れ物をしたと言い出した。
 アンに付き添いを頼み、遠路を帰らねばならないエリアーナはひとりきりで馬車の待つ厩に向かう中庭の石畳を歩いていた。

 ——急がなきゃ。御者のアルバートさんが待ちくたびれてる。

 眼前に広がる空は群青色から橙色に美しいグラデーションを描き、一番星が輝いている。夕風はほどなく肌寒い夜風に変わるだろう。

 薄い紫がかった銀糸のような髪がさらさらと風に靡いた。
 髪が《《こうなった》》のは、レオンのせい。


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