《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 一方的にとはいえレオンにキスをされたのは、アレクシスから見れば立派な「不貞」であろう。

 ——手紙を読んで、クロードも私にがっかりしたでしょうね?

 心臓をぎゅっと掴まれるような痛みを感じて、エリアーナの頬にまた涙が伝う。雨模様の心にたちこめた黒い霧はくすぶる疑問を浮き立たせた。

 ——「不貞」を犯した私を怒るのはわかります。
 でも、あんなに悲しそうな顔をするなんて……。旦那様が愛しているのは、アルマ様のはずなのに。

 指先をそっと唇にあてた。
 アレクシスに今までまともに触れられたことはなかった。なのに突然——結局、《《未遂》》に終わったけれども。

「くちづけされるかと……っ」

 唇と唇がふれあうほどに近づいた瞬間を思えば、腹の奥が甘くくすぐられる。
 火照った頭を冷やそうと、エリアーナがバルコニーに出ようとしたその時だ。


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