《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
「旦那様……私っ……謝らなければいけないことが、あるのです」
「ワインなんて飲み慣れていないだろう。ほら、先に水を飲んで」

 別のグラスに手早く注がれた水が差し出されるが、やんわりと拒否した。

「いいえ……平気です。少しくらい酔ったほうが、正直になれますから」

 目の前がくらりと揺らいだが、アレクシスには悟られたくなかった。余計な心配もさせたくはない。

「エリアーナ?」

 ——俺も……酔わねば、《《こんなこと》》。

 アレクシスもまた、心根で必死に冷静さを保とうとしていた。

 今にも泣き出しそうなエリアーナの美しい(かんばせ)に見上げられている。それは紛れもなく自分の妻で、今すぐにでも組み敷いて優しく愛を囁きたい相手であった。


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