《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
「それは……わかりません。発現の条件があるのかも、嘘をどうやって見抜けるのか、どんなふうにわかるのかも……。それを知るアビス一族は大陸中に離散していますし、母も私や家族に伝える前に亡くなってしまいましたから」

 アレクシスは渋い顔をして「そうか」と呟く。
 グラスに少しだけ残っていたワインを一瞥すると、ボトルを傾けてなみなみと注いだ。

「誰かが嘘をついたと、気付いた事は?」
「何らかのサインがあるはずなのです。異能があれば、嘘はきっとわかります。誰かが私の前で堂々と嘘をつけばの話ですが」

 ——エリーの前で、誰かが堂々と嘘をつけば——。

 アレクシスが胸の内で反芻するのを、長い睫毛に縁取られたアメジストの瞳が縋るように見上げる。

「旦那様は……そんなに私の『異能』が大事なのですか……?」


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