《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 潤んだ瞳は頼りなく揺れてかがやき、異能など無くても良いと、否定して欲しいと祈りながら訴えているに違いなかった。
 その期待どおりに答えてやりたいと思えば思うほど、心が軋む。

 ——すまない、エリアーナ。

 アレクシスは意を決める。
 腹の奥が焼けるように熱かった。

「ああ、そうだ。俺は『王の眼』の異能のために君と婚儀を結んだ。君の異能に望みが無いならば、子を成すまで……異能を受け継ぐのは女だけだと言うのなら、娘が生まれるまで孕ませる」

 洋燈のほのかな明かりの下、薄い夜着から覗く胸の丘陵は雪のように白く豊かで、エリアーナのしなやかな肢体をひどく妖艶に見せている。
 アレクシスはグラスの液体を勢いよく飲み干すと、エリアーナを横抱きに抱え上げた。

「不貞など許すものか。君が誰の妻なのか、思い知るがいい」


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