《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?

残酷な未来

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「エリー? エリーってば!」

 耳元で呼ばれようやく気付いた。
 は、と顔を上げると、仁王立ちをした赤毛の友人が怪訝な表情(かお)で見下ろしている。

「ちょっと、どうしちゃったの? 最近なんか変よ。心ここにあらずって感じだし、妖精のお花畑にでも迷いこんじゃった?」

「アン……いやだ、私ったらぼうっとして」

 アレクシスは昨夜もエリアーナの寝室で眠った。
 そしてきっと今夜も——熱い吐息とともに愛をささやきながら、遠慮がちにエリアーナにふれるのだろう。

 これまでの冷徹な態度を思えばすっかり別人になったようで戸惑ってしまうが、突然にあふれだしたアレクシスの愛情に心からの幸せを感じている事も否めない。

「ねぇ、頬が真っ赤よ? 熱でもあるんじゃない」
「ちがうの……ちょっと、色々、あって」

 ——はずかしくてアンには言えないけれど、私が旦那様に《《お熱》》なのは本当。

 アレクシスはその言葉通りにエリアーナを気遣い、まるで宝物の宝石を愛でるようにふれる。
 少しずつ溶かされていく自分を恥じらえば、アレクシスへの想いがあふれて胸がきゅんと切なくなった。



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