《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 アレクシスの秀麗な面輪がエリアーナの頬にふれそうなほどに近付いた。左胸がどくりと脈を打つ。
 長い指先が伸びた先には、縫いかけのタッセルリボンがあった。
 
「これをまだたくさん縫うんだろう? 俺にも手伝わせて」

 裁縫箱の針山から細針を手に取り、縫い糸の束から一本の糸を抜き取ろうとするのだけれど、

「絡まってる」
「コツがあるんです。糸束の中心をしっかり持って、この山の上から一本だけ……すーっと引き抜けば」

 アレクシスの、男性らしく筋張った大きな手。
 自分の手をそっと添えて導いてやると、

「本当だ、上手く抜けた!」
「お手伝いくださるの、すごく嬉しいです。でも旦那様、針は危ないので……っ」

 言ったそばから「痛ッ」案の定、指先を刺している。

 ——何でも卒なくこなされる旦那様が《《こんなこと》》で戸惑っているなんて……何だか、可愛い。

 アレクシスの思いがけない一面に笑みが(こぼ)れそうになるのをどうにか堪えながら、



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