《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
「男性は手が大きいので《《しづらい》》ですよね。針に糸を通すのも慣れですから、少し練習が必要かも」

 ぷくり、と赤い血が膨らんでしまった指先を口に含み、軽く吸った。

 エリアーナにとっては至って『普通』の対処法だったのだけれど……アレクシスはひどく困惑した様子で、薄青い瞳を見開いて、長いまつ毛でぱちぱちと瞬きを繰り返す。

「エリー……それは、何だ?! 何の、つもりで……ッ」

 指先を吸いながらアレクシスを見上げると、頬を真っ赤に染めている。慌てて唇を離したのだが——何か、いけない事でもしただろうか。

「私ったら、旦那様の断りも得ずに……っ。気持ち悪かったですよね……?」
「いや、そうじゃなくて」

 ——無自覚なのだろうが、突然、(そそ)る事、するから。



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