《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 ふっ、と熱い吐息とともに耳朶に囁かれ、唇と唇が静かに重なれば、ついばむようなくちづけが続く。
 何日もかけてアレクシスにゆっくりと(ほど)かれた身体は正直で、唇をそっと喰まれただけでエリアーナの腹の奥がきゅ、と縮まった。
 
 鼻で必死に小さな呼吸を繰り返していると、突然に花弁のような唇が(むさぼ)られ、押し開かれたわずかな歯の隙間から肉厚な舌が滑り込み、エリアーナの口の中を満たす。

「………んぅ………」

 深いくちづけはとても幸せだけれど、まだ慣れない。息がうまく吸えなくて、苦しくて、小さな声が漏れた。
 その声さえも愛おしいと言わんばかりに、漏れた吐息ごと食べられてしまう。

 白昼の客間だ。
 アレクシスとて、本気で抱く気は無いのだろう。
 夜の寝台で見せる甘美な雄の色香はなりをひそめ、薄らと開いた薄いブルーの両眼からは、エリアーナの反応を愉しむかのように涼やかな眼差しを覗かせている。



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