《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?

「エリーは『学園の貴公子』を魅了する『魅惑の乙女』なんだろう? あながち間違っちゃいない」

 アネットいわくレオンは『学園の貴公子』で、エリアーナは『魅惑の乙女』らしい。

「レオンは、違和感を感じないの? 学園の……貴公子だなんて」
「学園の貴公子——悪くない呼び名だ」
「あきれた。あなたはアネットが学園で唯一、気を許している人なのよ。そのあなたがそんなふうだから、アネットはっ」

 立ち止まり、ぷぅと頬を膨らませたエリアーナがすっくと見上げてくる。
 そんな表情(かお)さえもいちいち愛らしく、レオンの(はがね)の心臓をとくりとあまく打ち鳴らすのだった。

 レオンの想像も及ばないところで、エリアーナは夫の愛のもとで大人の女性としての覚醒を遂げている。

 眼鏡をかけた地味っ子だった頃からじゅうぶん愛らしかったが、レオンが眼鏡と髪留めを取り上げてから——いや、言わば眼鏡から解き放たれた瞳や下ろした髪だけじゃなく——何というか、内面から匂い立つような女の色香をまとい始めたように思えた。


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