《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
「アネットの言うことは気にするな。死んでも安心しろだとか根拠も示さず俺を救うだとか……治癒を為す聖女であっても死人《しびと》となれば手を引くと言うのに。とにかく矛盾だらけだ、彼女の妄想の域を出ない」
想い人と問題児に翻弄されるレオンの傍《かたわ》らで。
歩き出したエリアーナには、アネットの妄言に加えて守護妖精のルルが残した警告じみた言葉が不安に追い打ちをかけてくる。
アネットの妄言だけなら、レオンが言うようにただの妄想だと割り切れたかも知れないのに。
「だがもしも、おまえが危なくなったら俺が助ける。約束する」
真摯に向き合った背高い体躯がエリアーナを包むように大きな影を落とす。
強い口調で、けれどさらりと言い放ったのは揶揄いじゃない。レオンの気概が宿る、まるで誓いそのものだ。
「ああそうか、予言が外れて俺自身が死なずに生きていたらだがな」
はぐらかすように冗談を言って笑ったのは、他でもなく照れ隠しであった。
そんなレオンの想いを知るエリアーナには、どうしても伝えなければならない『事実』がある。