《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?

『一目で惚れた……それが俺の事実』

 夕陽に染まる書庫室で打ち明けられた、彼の『事実』。
 あの時は冗談にしか取れなかったけれど、あの日以来、凍てついた冬の海を連想させるレオンの碧《あお》い瞳にあまく優しい光が宿るのを、鈍感なエリアーナでさえ感じずにはいられない。

「……あのね」

 ——学園長先生と親友のアン以外、誰も知らない私の『事実』をレオンにはちゃんと伝えなきゃ……!

 湿り気を帯びた赤煉瓦の小道で、エリアーナは顔を上げる。
 レオンの直球の想いがまっすぐであるがゆえに、曖昧なままでいてはいけない気がした。



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