《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
レオンの反応があまりにあっさりとしていたものだから、エリアーナは拍子抜けしてしまう。
一方的に想いを寄せるのは人の自由、相手の思考にまではさすがに踏み込めない。そしてエリアーナにはもうこれ以上、為すすべがないのだった。
——旦那様に余計な心配をかけないように気をつけなきゃ……。
アレクシスだけじゃない。
意地悪な学園のマドンナ、ジゼルとその取り巻きからの嫌がらせは続いている。ジゼルが想いを寄せるレオンとの関わりで妙な勘繰りをされては、またどんな酷い目にあわされるか知れない。
「アネットの事も解決していないし」
つい気が重くなって、無意識にほう、と大きな溜息が漏れた。
「……この香り、好き」
うつ伏せになってふかふかの枕に頬を埋めると、ジークベルト家の勤勉なメイドが仕込んだラベンダーの精油がふわりと鼻先に漂った。
うとうとと心地よく微睡《まどろ》むうちに、ふと枕元に座るうさぎの縫いぐるみが目に留まる。
何気なく視線を逸らせた……けれど、すぐその違和感に気付いた。
——ルルがいないあいだ、縫いぐるみは書卓の上に座らせていたはず。夕方に見た時は、まだそこに……。
「……ルルっ」