《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 ——このお屋敷で、お料理……っ!

 冷え切っていた胸の内側が一気に熱くなる。
 離縁は叶わなかったけれど、無能嫁だと罵りを受ける肩身の狭い身としてやり甲斐のある仕事と責任を与えられたのは進展があったと言うべきだろう。
 それにうまくいけば厨房に入ることだって許されるのだ。

「君に与えられた仕事をこなそうとするメイドたちの表情には血が通っていた。あんなに生き生きとした彼らを見たのは初めてだ」

 アレクシスの冷徹な眼差しに一縷の和やかさが灯り、わずかに口角が上がったように見えたのはエリアーナの気のせいだろうか。

 ——旦那様が仰るように、縫い物を任せたメイドさんたちは何だか楽しそうでした。

「ただし、残りの部屋の改装を問題なく終えるのと、使用人たちの労働条件の改善案を提示して母上を納得させることが条件だ」

「お屋敷の改装は私が始めた事です。最後まで責任を持ってきちんとやり遂げます。ですが……労働条件の改善案、でしょうか?」

 これはさすがに経験のないエリアーナには難しそうだ。


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