《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
「ああ。そこに記した私の立案をもとに、あの頑固な女主人を唸らせるような良案を君の考えを交えて練ってみるのだな」

 ——それなら、私にもどうにかなるかも?!

「は、はいっ……精一杯やってみます!」

 エリアーナはアメジストの瞳を輝かせ、アレクシスから手渡された書類をそっと胸に抱くのだった。

 突然に、沈黙を守っていたエプロンのポケットがふん! と鼻をならした。勿論アレクシスには聞こえていない。

(お屋敷の改善はいいけど、エリーの今の状況。離縁どころか状況悪化を通り越して、ロザンヌ様の説得? そんなの無理に決まってる! っていうか作戦は大失敗、最悪の結果になってるじゃんか!)

 アレクシスの前で守護妖精と話すわけにはいかないので、代わりに心の中で呟いた。

 ——ルル、お願い……今は黙っていて。結果として良いこともあったのよ?
 無能嫁だと言われる私にも出来ることがあるかも知れないの。そう思えただけで、このお屋敷に私がいる意味がある気がして嬉しいの。

 思いがけない提案にエリアーナは頬を緩ませたが、アレクシスはいつもと同じ冷淡な眼差しを崩さない。

「母上から預かった君の『処罰』についてだが——」

 そうだ、罰の事はまだ聞いていなかった。
 エリアーナはこくりと息を呑んだ。


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