《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 ——詳しく聞けなかったけれど、民間の商店って、何のお店なのかしら。

 凶悪な犯罪組織のアジトだから物騒な武器とか弾薬とか売っているのを想像したが、そんな店に民間の夫婦がそろって入るのは寧ろ不自然だろう。

「きっと普通のお店よね。王都の街を歩くのだし、ドレスよりもワンピース……? そういえば、旦那様が何色が好きなのかもよく知らないわ」

 さほど多くはない衣装を慎重に選びとるうち、自然と鼻歌を歌っている事に気が付いた。ジークベルト家に嫁いでからというもの、歌が口をついて出たのなんて初めてだ。

「私ったら、浮かれたりなんかして——…」

 なにやってるんだろう。
 ふと、そんなふうに思った。

 今回の外出は夫から与えられた『罰』なのだ。
 鉄仮面のように無表情で不機嫌なアレクシスとともに過ごす時間など、どうなるものかは簡単に予想がつく。

 ——それでも。
 旦那様とのお出かけは初めてだもの。浮わついた気持ちになるのは仕方ないわよね……?
 

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