《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 七色の光の粒を集めたような《《それ》》は宙を舞い、まるでうなづくようにエリアーナの肩をくるりと一周した。

 そのあと、部屋の片隅に設置されたドレッサーの上に鎮座する白いうさぎの縫いぐるみへと向かい、羊毛で編まれたほわほわの被毛の表面に溶けこむようにして、縫いぐるみの体の中にきらめきながら消えていったのだった。

 スツールを離れて縫いぐるみに向かおうとすると、それを待たずにすっくと立ち上がった白うさぎがエリアーナの足元に駆け寄った。どうやら『入れ物』に収まった《《守護妖精》》は俊敏らしい。

 エリアーナは目を丸くする。

「突然に出てくるなんて、珍しいわね。今朝はまだ呼んでいないわよ?」

 うさぎは仁王立ちをして被毛で覆われた短い両腕を組み、あからさまにむっとした表情をうかべて見せた。


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