《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
「また世話になるよ。前に来た時、君が勧めてくれた日替わりが中々良かった。今日のメインは何?」

「わぁっ……私のこと覚えててくれたなんて! 日替わり、ありますよ! 羊の臓物煮ですけど、香辛料効かせてるんで臭みなくて美味しいんです。覚えててくれたの嬉しいからサービスしちゃいます!」

「有り難い。じゃあ、私はそれで」
「お連れのかたにも同じものを?」

 ——羊の、ぞ、臓物、煮……っ?!

 エリアーナが育った地方では、羊は神の使いだと信じられ大切にされていた。捧げ物として神に献上することはあっても、その血肉を食べる習慣は無かったのだ。ついグロテスクな料理を想像して青ざめていると。

「そうだな、メインを変更できる? 妻は羊を食さないのでね」
「おっ、奥方さまでしたか! お連れ様、若くて愛らしいからてっきり恋人同士かとっ……なんて、失礼しました。それなら奥方さま、鶏の煮込みはいかがです?」

 思いがけないアレクシスの言葉に驚いてしまった。自分の妻には微塵も興味を示さないはずなのに、エリアーナが羊を食べないとどうして知っていたのだろう。


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