《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
「エリアーナ。鶏肉の煮込みなら、食べられそうか?」

 そして更なる驚きは!
『エリアーナ』と、艶めく()い声が胸のなかで何度も反芻している。

 ——旦那様に、《《初めて》》名前を呼ばれました……っっ

「はっ、はい……! 大丈夫です」
「少食だから、盛り付けを少なめにしてやってくれ」

 注文を取った店員が店の奥に引っ込むと、客が少ないのを良いことに待ち構えていたように他の女性店員ふたりがやってくる。

「騎士様が女の人を連れて来られるなんて、驚いちゃいました。てっきり恋人かと思ったら奥様?!」
「夫婦そろって街で食事だなんて、仲良しですね! いいなぁ」
「こんな綺麗な奥様なら、そりゃあ連れて歩きたくなっちゃいますよね」

 社交はもちろん、エリアーナはこういった場が苦手だ。
 綺麗だという褒め言葉なんて、そもそも信じていない。社交の場で本心が語られるのは稀だと知っているからだ。


< 90 / 207 >

この作品をシェア

pagetop