《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
「そう言えば、店主の具合は? 肺の病を患ったと聞いて、同僚たちと案じていたところだ。この店が無くなったら困るからね」
「それが! ただの咳風邪だったんです。みんなを心配させるだけさせといてって感じですよね?」
「本当よ。あの爺さん、あと百年はぴんぴんしてる!」

 店員たちと話すアレクシスは饒舌そうに見え、互いに笑顔が飛び交う様子を見ていれば、エリアーナただひとりがぽつんと取り残されているような気がした。

 ——旦那様は、あんなふうに笑うんだ。

 新たな客の入店を機に店員たちがいなくなると。
 アレクシスは先ほどの鷹揚さが嘘のように頬を固めてしまう。口元を一文字に引き結び、腕を組んでどこか宙を睨むようだ。


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