《更新中》エリアーナの結婚 ～ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻？！私、お飾りのはずですが…？

　——幼い頃から年齢よりも大人びて見えたが、今のエリーは…… 柔らかに膨らみかけた花の蕾のように純真無垢な美しさと強さを内に秘め、俺を魅了する。
　だがこの想いを知られてはいけない……突き放さねばならない。それが唯一、俺がエリーを守るためにしてやれることだ。

　
　アレクシスはただ必死で愛おしいという想いや感情を押し殺し、「自分は嫌われねばならない。そのためにはエリアーナを冷たく突き放さねばならない」という信念のもとで動いている。

　そのせいで、エリアーナの心の内側には「私は嫌われている。無能嫁だから旦那様に疎まれている」という悲壮感がむくむくと膨らんでいくのだった。


　＊


　礼装を整然と着こなした二人の青年が重厚な双扉を開けば、薄暗い内廊下が建物の奥に向かって続いている。
　アレクシスはちらりとエリアーナを見やると、す、と片腕を差し出した。

「仲睦まじい夫婦は、腕くらい組むものだろう？」
「ぇ……っ」