《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
「妻に似合うドレスを何着か見繕って欲しい。それらに合う装飾品もだ」
「あら……素敵ですこと。社交用でよろしいでしょうか?」
「ああ。王宮の広間に立たせても見劣りしないものを頼むよ」
「でしたら、わたくしどもに全てお任せくださいませ。ドレスも装飾品も最高級品の数々を取り揃えております」

 ——社交用の、ドレスっ

 そんなものを、アレクシスはここで本当に購入するつもりだろうか。
 最高級品だとか……そんな高価そうなものを、ただの《《視察》》で……?

「あっ、あの、旦那様……?!」

 ——お買い物なんてしませんよね、これは視察ですよねっっ

 何度も見上げて訴えるけれど、アレクシスは涼しい顔をしている。
 不意に長い指先が伸びてきて、エリアーナの頬にふれた。
 突然の出来事にびくん! と肩が跳ねる。指先はそのまま頬をすべり、落ちかかった髪を耳にす、とかけた。

「衣装屋に来たのだから。何か買わないと不自然だろう?」

 こそりと囁かれたその時、ほんの少しだけ——アレクシスの瞳が揺れ、頬が緩んだように見えたのは……きっと、きっと、気のせいだ。



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