君のことがずっと好きだった・・・今度こそ君を守る
「咲、乗りな。」

咲が後ろに乗ると、廉が振り向いた。

「ちゃんと掴まってなよ。振り落としちゃうよ。まぁそんなにスピード出さないけど。」

「・・・うん。」

咲はそう言って、廉の背中の服を握る。

「もっと密着して、危ないから。」

咲の手をとり、自分のお腹に腕を回した。

「じゃあ帰ろっか。」
そう言って、廉は自転車をこぐ。

「大丈夫?怖くなったらすぐ言えよ。」

「うん。」

咲は目をつぶる。いつもなら怖い夜の街が、廉の温もりで和らぐ。廉の柔軟剤の香りのシャツに咲は密着して、暖かな気持ちになった。
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