君のことがずっと好きだった・・・今度こそ君を守る
幼い頃から母同士が仲良く、廉とよく遊んでいた。何しても上手で、スポーツやゲームなどたくさん教えてもらった。一人っ子の咲にとってはお兄ちゃんのような存在だった。
でもいつしか、お兄ちゃんというくくりではおさまらない感情を抱くようになっていった。優しくてかっこいい、いつも助けてくれる廉を好きになった。

事件後も唯一今まで通り接してくれたのが、廉だった。転校して馴染めず辛い時も廉との楽しかった日々を思い出すと元気がでた。
ここに戻ってくるは怖い気持ちがあったが、お母さんや廉との楽しい思い出があるこの地でいちからやり直したかった。
入学してすぐに廉を見た時は驚いた。やっぱりかっこいいと思った。恋心が再燃しそうだった。
だけど、それと同時にいじめにあったことを思い出した。

自分みたいなのが廉に恋なんてしたらだめだ。廉に近づいて、もしまたいじめられたら、お父さんが悲しむ。遠目から見る生活をして、恋心を終わらせようと決めた。

昨日、廉と接してみて好きという気持ちが溢れた。廉の逞しい背中に抱きつくと嫌なことがふっとび、幸せな気持ちになった。このままでいたいと思った。

だけど、団長として話す廉をみて、廉と自分は住む世界が違うことを実感する。昨日のことは自分へのご褒美だった。廉のことはちゃんと忘れようと思った。
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