君のことがずっと好きだった・・・今度こそ君を守る
「みんな来てくれてありがとう。」

インターフォンを押すと咲が出てきた。後ろから続けて咲の父がやってくる。咲はみんなが来ることは伝えてあった。

「咲さんのことを送った日、親から咲さんが僕のせいで辛い目にあっていたことを教えてもらいました。咲さんが苦しんでいることも知らず、僕はのうのうと過ごしてきたこと、人目に付くところで話しかけたこと後悔していました。お父さんに言っていただいたように、咲さんに話しかけるのはやめようと何度も思いました。だが、咲さんとこれから先関わることなく生活していくことを考えると辛く、出来ません。これからは必ず守ります。辛い思いはさせません。だから、僕と咲さんが関わることを許していただきたいです。」
廉はそう言って頭を下げた。

「俺は昔から廉と仲良しで、彼のことはよく知っています。彼は本当に誠実で真面目で良い奴なんです。だから、咲さんとの交流を認めていただけると嬉しいです。」
大地もそう言って頭を下げる。

「廉くんと大地くんだよね。わざわざ来てくれてありがとう。廉くん、この前は咲のこと送ってくれたのにお礼も言わず、強く言い過ぎたと反省したよ。君はかっこいいし、いい男だね。男の俺が見てもそう思う。学校では大人気なんだろうね。だからこそ、不安だ。君とは学年もクラスも違うだろ。君がいない間に咲が何されるかわからない。今はSNSも使われる。どこでどんな悪口が書かれるかわからない。そんなことで咲がまた苦しんでいくのを見たくない。だから、正直交流は認めたくないね。それに君たちは3年生だろ、卒業してもまだ2年間咲は高校に通わないといけない。その期間はどうするつもりだ。守るなんて簡単に言わないでくれ。」
父は冷静に言う。

廉は父に言われて、何も言えなかった。守りたい、大切にしたいと思ってるけど、卒業してからはどうしても会えない時間が出来る。自分の気持ちを優先させて、また咲が苦しむことは絶対避けたかった。

「咲さんのお父さん。はじめまして、咲さんと同じクラスで同じ部活の田辺真由です。咲さんとは高校に入学してから、毎日一緒にいて仲良くさせてもらってます。咲さんはいつも私に優しくて何度も助けられてます。勝手だとは分かっていますが、廉さんと咲さんの関係は素敵だと見ていても話を聞いても思っています。それに先輩方が卒業しても私はいます。私は絶対咲さんを裏切るようなことはしません。なので、廉さんと咲さんの交流を認めていただけると嬉しいです。」
真由もそう言って頭を下げた。
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