君のことがずっと好きだった・・・今度こそ君を守る
「咲ー、帰ろうか。」
今日は週1回の書道部の活動日だった。廉は図書室で勉強しており、咲の部活終わりの時間に合わせた。

もう12月ということで日が落ちるのが早くなっていた。

「咲、もう結構暗いけど、怖くないか?」

「うん。大丈夫。」
咲はそう言うが少し表情が暗い。

「咲ー、無理すんなよ。自転車で送るから、後ろ乗りな。」

「悪いよ。廉は勉強で忙しいのに。」

「咲と帰る時間が俺の息抜きになってるから。」
そう言って廉は咲を自転車の後ろに乗せて、走る。

「咲、大丈夫か?」
廉は自転車をこぎながら聞く。

「うん。廉の自転車の後ろに乗ってると怖くない。」

咲は昔なら夜道はずっと目をつぶっていたが、最近は廉の自転車の後ろで目を開けて、景色を見られるようになっていた。1人で歩くのはまだ怖いが、少しずつ克服出来ているのが嬉しかった。

「廉の背中は落ち着くー。」
そう言って、ぎゅっと抱きついた。

「かわいいヤツめ。」

「廉が卒業したら、こんな生活できないと思うと寂しい。」

「まあなー。だけど、大学早く終わる日とかは迎えに来るよ。」

「そんなん悪いよ。廉だって大学忙しいでしょ。」

「どうかな。でも時間みつけて会おうよ。」

「そうだね。廉は大学でもサッカーするの?」

「迷ってる。サッカーは高校まででやりきった感あるんだよね。システムエンジニアなりたくて、大学行くつもりだし。そっちの勉強が優先だわ。まあボール蹴りたくなって、いい感じにやってるサークルとかがあれば入ろうかなと思ってるけど。」

「そうなんだ。廉、大学行っても仲良くしてね。他の人好きにならないでね。」

「はぁ?何言っんの。なるわけないじゃん。俺がどんなけ咲のこと好きだと思ってんの。咲こそ最近眼鏡も外して、前にも増してかわいい。俺が卒業して、他の男に声かけられたからって好きになるなよ。」

「ならないよ。私にとって廉はヒーローだから。」

「なんだよそれ。」
廉は照れながら答えた。
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