勇者の子達の行く道は

兄貴と姉貴

結局俺はアカデミーを出て、家に着くまで兄貴に俵担ぎをされたままだった

「なんだよ兄貴!!家に帰るまで俵担ぎしやがって!!」

「途中で降ろしたらどっかに隠れたり逃げたりするだろ?」

「ゔっ…」

「ほら、やっぱり図星じゃない」

あははと笑い出す姉貴に無性に腹が立っていると玄関前で騒いでいたせいで人…使用人たちが集まってきていた

「ブライザー様、ホープイ様、ルイーファシ様お帰りなさいませ」

そう声をかけてきたのは執事長のダンセルだった
ダンセルはこの家の使用人を全て取り仕切っている

「ただいま、ダンセル
俺の部屋に紅茶と茶菓子を運んで置いてくれ」

「承知いたしました。」

「アングレムはいるか?」

兄貴はダンセルに用事を伝えると次に呼んだのは俺の専属執事だった
本来、メイドが着くところを女がやや苦手な俺の事をダンセルが配慮してくれてなのかアングレムをつけてくれた

「はい、ここに」

「ルイを着替えさせてから俺の部屋まで連れてきてくれ」

「承知いたしました。」

「じゃぁ、ルイまた後でね〜」

「はぁ!?おれいくなんて…」

言ってないそう続けようとして止まる
理由は兄貴が有無を言わせないと言うような笑顔を浮かべていたから
その隣では姉貴が黒い笑みを浮かべてる

これ行かなきゃ殺される

そう錯覚するほどの恐怖があった

「来いよ?」

「は、はい…」

兄貴たちのあの顔に逆らおうという気は一瞬にして消え去って行った

「では、ルイーファシ様行きましょうか」

アングレムに声をかけられ俺は自室のある方へと足を進めた

「あー怖かった…」

「ルイーファシ様が逆らうからでしょう」

「そうだけどよ…てかアレン、外せ」

「はいはい」


アングレム…アレンとは俺がずっと小さい頃から一緒だったもう1人の兄のような存在だ
俺がちゃんと物心着くまでに孤児だったアレンを街で見つけて拾って帰ってきたらしい
俺よりも5つ年上で兄貴たちと同い年、騎士となるまでは兄貴たちと俺と一緒に育ってきた
けどアカデミーを卒業して、この家の騎士となるとそうはいかなくて離れることが多くなった
そんな時、俺の専属の使用人の話が出てアレンが着くことになった

「…んにしてもルイアカデミーでなんかやらかしてきたのか?
ブライザーとホープイと一緒に帰ってくるなんて今まで無かったじゃん」

「なんかアカデミーにいて、そのまんま連れさられた」

「要するに理由が分からないと」

「そうだな」

「まぁ怒られる系の雰囲気じゃなかったし心配することないだろ」

「いや、だって考えてみろ、王国軍に入ってから5年…まじで少ししか接触してこなかったんだぜ
それでいきなり連れ去られるしかも俵担ぎでな!?
そんでもって話があるぅ?心当たりなんて全く無いんだから逆に怖ぇよ」

「まぁルイの言い分も確かだよな…」
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