明日の恋人
すると音瀬くんは続ける。

大丈夫じゃないでしょ?なんで大丈夫って言うの?…
有坂さん、いつもそうだよね?

笑ってるけどなんか無理してる。
本当のこと言わないし、隠してる。

音瀬くんは確信しているようにそう言った。

「別に、そんなことない…」

違う。そんなことある。音瀬くんが言ってることは本当だ。私は本当の気持ちを隠してる。
だって…だって…私は、幸せになっちゃいけないから。家族が死んだのに私だけ楽しく生きてるなんてダメだから。周りにこれ以上迷惑かけちゃいけないから。このままでいちゃいけないから。

そう考えると頬になにか熱いものが流れる。

「え、ごめん!俺きついこと言ったよね?」
焦ったように音瀬くんが言う。

私は、急いで首を振った。

違う…音瀬くんは悪くないの…。
私…私ね…このままでいちゃいけないの…。
私なんかが幸せに生きていいわけないの…。
私なんて…

続けようとしたら、音瀬くんが私を抱きしめた。

驚いて見ると、音瀬くんは泣きそうな、悲しそうな顔をしていた。
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