明日の恋人
第三章
そして私は、卒業式こそ出られなかったものの、何の問題もなく中学の入学式を迎えた。

私の入学した美浦(みうら)中は、各学年2クラスだけのかなり小さめの学校だった。

小学校から知り合っている生徒たちがほとんどのようだったけれど、この半年ですっかり馴染めたと思う。

私は、家が近い(しおり)と、隣町から引っ越してきた沙耶香(さやか)と仲良くなった。

私の家族が事故で亡くなったということは、たぶんクラスメイトのほとんどが知っている。まぁ、子供だけで急に引っ越してきたら、なぜ来たのか皆揃って尋ねるのも無理な話ではない。事故で亡くなったなんて話はそうある話ではないだろう。だから、一瞬で町中に伝わったのだ。

祖父母は、そのせいで私が馴染めないのではないかと密かに心配していたようだったけれど、私は沙耶香と栞のおかげで、平穏で静かな日々を過ごせていた。

そう、今日までは。
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