明日の恋人
この学校の文化祭では、各クラス何か企画することになっている。そこで私たちのクラスでは演劇をすることになっていた。

今日は、その役割決めの日だったのだ。

監督、役者、大道具、小道具、照明、衣装など大まかに役割を分け、役者の中でも何の役を誰が担当するかまで決めるのが今日のやらなければならないことらしい。

演劇は私にとってもちろんすごく大切なものだ。
だが、私には前のように思い切り楽しんで演じるということはできそうもなかった。

だから私は、出来るだけ目立たず、そこそこ頑張って終わらせようと思っていた。

演劇は、「白雪姫」をすることになっていて、監督は全会一致で委員長になった。

委員長というのは、このクラスの学級委員長。キリッとした目に、長いポニーテールのいかにもリーダー感のある女子、長野皐月(さつき)のことだ。

委員長は、え?いいの?と良く通る声で言いながらも、嬉しそうに監督の欄に自分の名前を書いた。

衣装、照明、大道具と次々と決まって担当が決まっていった。

私は、沙耶香と栞と小道具をするつもりだった。
しかし、小道具の担当を立候補する人は予定人数を1人超えていて、くじ引きで決めることになった。

そして私は、見事に1つしかないハズレを引き当て、沙耶香と栞と離れ離れになったわけだ。

さすがに1つしかないハズレは引かないだろうと3人とも思っていたので予想外すぎてなにもできなかった。
まあ、小道具の担当になれないことはもう決まったことだから、何をするわけにもいかないが。

そうこうしているうちに、私の担当はもう役者しか無くなってしまっていた。
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