憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~
ブルーインパルスを見ながら
メインイベントが始まる直前にもなると、パイロット体験も受付休止になり、私たちはペットボトルの水を片手につかの間の休息を取ることになった。
「すごかったですねぇ。列ができてるところに突撃すれば、あんな簡単に飲み物が馬鹿売れするなんて! 機内販売をしているのが、馬鹿らしくなってきちゃいますよぉ~」
「思ってた以上に列が長くて、喉が渇いても買いにいけない人たちが多かったんでしょうね」
「ああ……そういえば、自動販売機はすべて売り切れになっているそうだよ。うちのブースにも直接、飲み物を求めて顔を出しにきた人たちがいたくらいだからね。想定以上の人々が来場しているのは間違いない」
「イベントが終わったら、また忙しくなるのかと思ったら憂鬱ですね」
フロントスタッフの女性は疲弊の色を隠しきれず、顔色があまり良くなかった。
そんな彼女を勇気づけるかのように、倉橋がわざとらしい大声で空を指差す。
「イベントといえば~! ここからでも、空を舞うブルーインパルスの姿が見えますよね! みんなで並んで見ましょうよ!」
「私は疲れたから……ここで休んでいます。皆さんだけで……」
「じゃー、あたしもここに……」
「倉橋さんは三木副操縦士や峯藤さんと一緒に、見学しておいで」
「キャプテン、いいんですかー?」
「航空祭には、何度も出店しているからね。見学しなくても平気だよ」
お父さんはお母さんがそばにいないから、余計に気乗りしないのでしょうね……。
フロントスタッフと共に、ブースに残ると宣言した。
私もブルーインパルスの飛行になど、興味はないのだけれど……。
航晴は当然のように見学するつもりのようで、立ち止まっている私に視線で訴えかけてくる。
「ほーら! 峯藤先輩! 行きますよー!」
「ちょっと。私は……」
「遠慮しないでください! 年に一度の、お祭りなんですからねー!」
倉橋に背中を押され、彼のほうへ追いやられた私は、流石にまずいだろうと拒絶するように自らの足でLMM航空のブースから出た。
近隣のブースからもまばらにスタッフが外へ出てきており、ブルーインパルスの飛行を待ちわびている。
旅客機は馴染み深いけれど、これから空を舞う機体は戦闘機。
航空会社ではなく、自衛隊の領域だ。
「すごかったですねぇ。列ができてるところに突撃すれば、あんな簡単に飲み物が馬鹿売れするなんて! 機内販売をしているのが、馬鹿らしくなってきちゃいますよぉ~」
「思ってた以上に列が長くて、喉が渇いても買いにいけない人たちが多かったんでしょうね」
「ああ……そういえば、自動販売機はすべて売り切れになっているそうだよ。うちのブースにも直接、飲み物を求めて顔を出しにきた人たちがいたくらいだからね。想定以上の人々が来場しているのは間違いない」
「イベントが終わったら、また忙しくなるのかと思ったら憂鬱ですね」
フロントスタッフの女性は疲弊の色を隠しきれず、顔色があまり良くなかった。
そんな彼女を勇気づけるかのように、倉橋がわざとらしい大声で空を指差す。
「イベントといえば~! ここからでも、空を舞うブルーインパルスの姿が見えますよね! みんなで並んで見ましょうよ!」
「私は疲れたから……ここで休んでいます。皆さんだけで……」
「じゃー、あたしもここに……」
「倉橋さんは三木副操縦士や峯藤さんと一緒に、見学しておいで」
「キャプテン、いいんですかー?」
「航空祭には、何度も出店しているからね。見学しなくても平気だよ」
お父さんはお母さんがそばにいないから、余計に気乗りしないのでしょうね……。
フロントスタッフと共に、ブースに残ると宣言した。
私もブルーインパルスの飛行になど、興味はないのだけれど……。
航晴は当然のように見学するつもりのようで、立ち止まっている私に視線で訴えかけてくる。
「ほーら! 峯藤先輩! 行きますよー!」
「ちょっと。私は……」
「遠慮しないでください! 年に一度の、お祭りなんですからねー!」
倉橋に背中を押され、彼のほうへ追いやられた私は、流石にまずいだろうと拒絶するように自らの足でLMM航空のブースから出た。
近隣のブースからもまばらにスタッフが外へ出てきており、ブルーインパルスの飛行を待ちわびている。
旅客機は馴染み深いけれど、これから空を舞う機体は戦闘機。
航空会社ではなく、自衛隊の領域だ。